申立人及び対象機関の職員の面談聴取や申立人作成の「市長への手紙」及びそれに対する市の回答、申立人の電話・来庁記録等を調査した結果は次の通りである。 なお、申立人の「市長への手紙」については多種に亘っていることから、申立人の了承のもと、「駅のエスカレータについて」と「地デジについて」の2件のやり取りについて調査を行うこととした。 (調査内容) 1.駅のエスカレータの件 (1)市長への手紙を出すに至る端緒 平成19年7月3日、申立人は、カバンから甲府行の予約切符(1000円弱)を取り出し、中神駅エスカレータに乗ったところ、その切符を取り落とし、切符はエスカレータの階段と手摺り板との間の隙間に吸い込まれてしまった。申立人は、中神駅の駅員に事情を説明し、切符を取り戻せないかを確認すると、駅員は、中神駅エレベータはJRではなく市が設置・管理しており、市に連絡する必要があると説明した。申立人は電車の時間が迫っていたため、市には連絡せず、別途甲府行の切符を購入し、甲府に行った。 その翌日か翌々日、甲府から戻った申立人は、市に電話して事情を説明し、切符を探せないかを頼んだ。市は、同月5日、保守管理会社にエスカレータ内部の臨時点検を行わせたが、切符は見つからず、その旨を申立人に報告した。 (2)「市長への手紙」と回答 ア.当初のやりとり すると、同月17日、申立人は、「中神駅のエスカレータは欠陥商品ではないかという体験をした」、「重要なものが吸い込まれ、出てこないようなエスカレータ設備をそのままにしておいてよいのか」「市は管理者として今後、このような事態にどう対応するか」との「市長への手紙」を提出した。 そこで、市は、保守管理会社に確認をとったところ、同社は「建築基準法上の構造基準では、踏み段との隙間は5mm以下となっているが、当社では3mmにしており、技術的限界と思われる対策を講じている。万が一、その隙間にお金や保険証、免許証などが入ったときは、エスカレータの上下部にある点検口を開けるなどして発見することが可能であり、今回のようなケースは聞いたことがありません」と回答したため、平成19年7月23日、市は、その旨を電話で申立人に伝えた。 その後、川崎駅で起きたエスカレータ事故に際し、申立人は、「切符が吸い込まれた件も含めて、メーカーに安全対策の強化を求める」等と手紙を出したが(H19.8.14手紙)、市が当時メーカー宛に出した文書(H19.9.3付)は下記の通りであり、切符が吸い込まれた件について言及がなかった。 記 「平成19年8月12日(日)川崎市内のエスカレーターにおいて発生した負傷事故により、当市においても多くの市民の方々から、不安の電話や手紙が寄せられています。市内の駅舎自由通路等に設置してあります、貴社製のエスカレーターを目視点検を実施したところ、4箇所の破損箇所を発見し、貴社に修理を依頼したところです。つきましては、同様の事故再発を防止するため、事故原因の究明及び改良を徹底するよう要望いたします。」 イ.メーカー宛文書に切符吸込の件を記載しなかったことについて そのため、申立人は、再三に渡り9/3付メーカー宛文書に切符吸込の件を記載しなかった理由を市に質問し(H19.9.18手紙、H19.9.28手紙、H19.10.15手紙、H19.11.7手紙)、市が「市民全体の安全確保の見地から作成した」と回答(H19.9.27手紙、H19.10.3回答、H19.11.6回答)しても納得しないため、市は「申立人のケースにつきメーカーに文書で改善方を要望する」と申立人に知らせ(H19.11.28回答)、同日同趣旨のメーカー宛文書を提出した。 しかし、申立人は納得せず、「グダグダ言わない。人身事故ではないし、メーカーに『聞いたことがない』と言われて、書けなかったということでしょ。素直に謝ればいいのに。このままでは納得できません。『繰り返し』ではない再回答を求めます」等と主張し(H19.11.29手紙)、その後も再三に渡り、手紙・電話・来庁により納得できない旨の意向を伝えた。 ウ.「今回のようなケースは聞いたことがありません」との記載について 申立人は、市のH19.9.27付回答(H19.7.23の電話回答を、申立人の要求により文書化したもの)の「今回のようなケースは聞いたことがありません」との記載を取り上げ、「申立人の話を信用していないのか」と追及(H19.9.28手紙、H19.10.4手紙)、市が「メーカーが把握している事故の中ではレアケースという意味であり、信用していないという趣旨ではない」(H19.10.3回答)「メーカーは構造上切符が吸い込まれる可能性のあることを認めている」(H19.11.28回答)と説明しても納得せず、中神駅のエスカレータで実験し本当に吸い込まれるか否かを実験することを、繰り返し求めた(H19.11.29手紙、H19.12.19手紙)。 なお、後日、申立人は、自分で古い保険証をエスカレータで2度落として実験してみたが、吸い込まれなかった(H20.5.9手紙)。 エ.平成19年10月16日の平塚西友のエスカレータ事故について 同事故は、建築基準法に合致しないエスカレータの保護板と壁の間の隙間に、子供が頭を挟まれ、死亡した事故である。 申立人は、上記件を契機とした市の対応等を質問する手紙を提出し(H19.10.19手紙、H19.11.7手紙、H19.11.16手紙)、市は「H19.10.17に現状確認を行い、メーカーにも緊急点検をするよう指示した」「H19.11.20にメーカーが緊急点検、建築基準法に合致していることを確認した」等と回答(H19.11.6回答、H19.11.14回答、H19.11.28回答)した。 すると、申立人は、「市職員は本当に点検したのか。業者に丸投げしたのではないか」等と質問し(H19.11.29)、市が「昭島駅の保護板については、H19.10.17市職員が点検し、平塚と同じ保護板であることを確認した」(H19.12.14回答)と回答すると、申立人は「中神駅のエスカレータを本当に点検したのか」と質問し(H19.12.19手紙)、市は「中神駅のエスカレータには保護板がないので、点検の必要はない」と回答した(H20.1.7手紙)。 オ.市の回答の打ち切り〜本申立 平成20年1月7日、市は、上記イウエの件について再度回答し、「エスカレータ問題については今回の回答をもって区切りとする」として回答を打ち切った。 それ以降も、申立人は、上記と同趣旨の手紙や「中神駅のエスカレータには保護板がないから点検の必要がないという市の姿勢は問題。中神駅のエスカレータには危険性がある(但し、具体的に何が危険かについての指摘はない)」との手紙を提出する等したが、市が回答しないため、本申立に及んだ。 2.地上デジタル放送(以下「地デジ」という)の件 (1)地デジ放送について ア.地デジ放送の開始 2001年(平成13年)に電波法が一部改正され、現在の地上アナログテレビ放送は2011年7月24日までに終了し、地上波デジタル放送へ完全移行することになった。それに伴い、放送法第2条5項の規定に基づく「放送普及及び基本計画」の一部改正が行われ、地デジ放送に関する指針や目標が定められ、2006年12月までに全国都道府県庁所在地で地デジ放送が開始されている。また、別紙の通り、デジタル放送中継局の整備が予定されている。 イ.地デジ放送化の理由 総務省は、次の理由から地デジ放送化を進めている。 1.多様なサービスの実現 デジタルハイビジョンの高画質・高音質番組や、双方向サービス、高齢者や障害のある人にやさしいサービス、暮らしに役立つ地域情報などを提供 2.電波の有効利用 電波は現在目一杯使われているが、デジタル化すればチャンネルに余裕ができる。 3.世界の潮流 地デジ放送は、1998年にイギリスで最初に開始され、現在、欧米ではアメリカ、ドイツ、イタリアなど、アジアでは韓国、中国、ベトナムなど、世界の20以上の地域で放送されている。 4.情報の基礎 地デジ放送対応テレビをネットに接続し、より多くの情報を得ることができる。 ウ.地デジ放送の受信方法 UHFアンテナと地デジ対応テレビ(またはアナログテレビに地デジチューナーを接続)が必要である。 (2)総務省による調査・報告 平成18年10月19日、申立人は、「申立人が居住する団地周辺には地デジが届かない」として市長への手紙を出し、市を通じて総務省に問い合わせをさせたが、飽きたらず、自ら総務省に抗議し、総務省をして同年11月16日に現地調査をさせ、下記報告を受けた。 記 「同日現在では地デジ放送の全チャンネルを良好に視聴することは難しい」が、 「現在、放送事業者において、多摩デジタル中継局の2009年末の開局並びに八王子デジタル中継局の開局について検討している」 「これら中継局の開局の時期に施設改修等を実施することにより、地デジ放送の受信が可能になる」 以上、総務省関東総合通信局放送部放送課受信障害対策官作成の平成18年12月19日付「申立人が居住する団地周辺地域における地上デジタル放送の受信相談について」から抜粋 (3)広報平成19年2月1日号 更に、申立人は、 1.総務省に対して即刻改善を要求すること、 2.市の広報により、視聴不可能地域があることを全市民に周知徹底すること、3.視聴不可能な場合の地デジテレビを家電販売店に引き取らせるよう市が指導することを求める「市長への手紙」を提出した。 これに対応して、市は、平成19年2月1日号に下記記事を掲載した。 記 地上デジタルテレビ放送への移行に伴い、現行の地上アナログ放送は平成23年(2011年)7月24日までで終了します。地上デジタル放送を視聴するには、それに対応したテレビ、チューナー、UHFアンテナが必要になります。 すでに、昭島市は、地上デジタル放送受信可能エリアになっていますが、対応するテレビなどを設置しても視聴しにくいとの問い合わせも寄せられています。総務省と各放送事業者などでは、地形などの影響により視聴しにくい地域について、平成23年までに解消を図る計画です。 <問い合わせ先> 総務省地上デジタルテレビジョン放送受信相談センターTel (4)同広報に対する申立人の対応 同広報について、平成19年2月2日と同月28日、申立人は、「『視聴しにくいとの問い合わせも寄せられている』」との表現は不適切だ。視聴不能の地域があることを明記すべきだ」、「問い合わせ先として記載されている総務省の相談センターは何も分からないし、何もしてくれない。市が窓口になるべきだ」、「『地デジ放送について』とのタイトルも不適切だ。『視聴できない地域がある』ということをはっきりさせるタイトルにすべきだ」等の市長への手紙を提出した。 これに対し、市は、同年2月23日と同年4月18日に「2009年に多摩中継局の開局が検討されている(過渡期であること)」『視聴しにくいとの問い合わせ』との表現は、平成19年2月1日現在の市の情報に基づく」「市は、東京都主催担当者会議で、総務省に早急な改善等を強く要望した」等と回答し、更に、「次の広報では、総務省の受信障害対策官からの平成18年12月19日付報告書(申立人の上記手紙に添付)の分析結果を考慮し、別の表現を考えたい」と回答した。 (5)広報平成19年12月1日号 市は、広報平成19年12月1日号に下記の記事を掲載した。 記 既に昭島市は地上デジタル放送を受信できる地域になっていますが、対応するテレビなどを設置しても良好に視聴できないとの意見も寄せられています。総務省と各放送事業者では、地形などの影響により良好に視聴できない地域について、平成23年までに解消を図る計画です。地上デジタル放送については、次の機関に問い合わせて下さい。 ○集合住宅にお住まいのかた→日本CATV技術協会Tel ○ケーブルテレビを利用しているかた→日本ケーブルテレビ連盟Tel ○その他→総務省地上デジタルテレビジョン放送受信相談センターTel (6)同広報に対する申立人の対応 同広報に対し、申立人は、平成19年11月30日、「『良好に視聴できないとの意見も寄せられている』との表現はH19.2.1号とどう違うのか、受信状況の調査をなぜしないのか、TVなどで大宣伝しながら、電波の届かないところがあっても知らん顔の総務省、映らなくても知っちゃいないと高額商品を売りつける業者に対し、市は、市民の暮らしを守る立場で強く要請や指導をする気はないのか?なぜ、やらないのか?」等との手紙を提出した。 これに対し、市は、平成20年1月7日、「総務省の受信障害対策官からの平成18年12月19日付報告書を参考とした表現。総務省によると、2009年に多摩、町田、八王子に配信施設を設置し、難視聴区域の解消を図る予定。調査を行う予定はない。総務省には申立人の意見の趣旨を伝えている」と回答した。 しかし、申立人は、「地デジ問題について再三やりとりをしているが、納得のいく回答がない」等として、同趣旨の手紙を提出し、電話や来庁や手紙により回答を何度も催促したが、市が前回の回答と同趣旨の回答しかしないため、本苦情申立に至った。 3.市長との面会の件 申立人は、前述の通り、エスカレータや地デジの件等について「市長への手紙」を出したが、申立人の納得する回答がないため、4〜5回に渡り市長への面会を求めた。 しかし、面会が実現しないため、申立人は、平成20年5月3日、「市長との面会申し入れ方法」を教えてほしい旨の申し入れをした。これに対し、同月21日、市は「今後も文書で回答する」と回答したため、申立人は市長への面会を求めて、本苦情申立に至った。 |