申立人及び対象機関の職員の面談聴取や関係書類の閲覧、資料等の提出などにより、調査した結果は次の通りである。 (調査内容) 1.本制度の目的、仕組み 目的は上記の通り。ガソリンの領収書を添付してガソリン使用量を申請し、それに応じてガソリン税相当分を交付する仕組になっている。 2.本制度利用の実態 (1)ガソリン使用量の申請の実態 本制度利用者1人当たりの月平均ガソリン消費量は、48〜49リットルである。上限60リットルの利用者が全体の45%いる一方、登録のみで利用のない者も26%いる。 (2)本制度の目的に従った利用の有無 本制度の目的に従った利用がなされているか否かについては、捕捉不可能である。本制度や福祉タクシー制度のような経済給付の方法では、目的外利用を排除・区別することはできず、目的に添った利用にするためには現物給付が最も適切である。本制度について月60リットルの利用者が45%に登るのは、このような福祉制度としての限界を反映する面もあるものと推測される。 3.本制度の福祉上の位置付け (1)心身障害者の生活圏拡大施策の状況 交通機関の優遇措置や税金の控除・免除、日常生活の援助など様々な制度がある。本制度が開始された平成元年当時と比べると、心身障害者の生活圏拡大施策が、整備されてきたといえる。 (2)心身障害者の生活保障制度 心身障害者の基本的な生活保障制度として、「心身障害者福祉手当」などの各種手当がある。これら手当は、障害があることに伴って生じる様々な経済的負担を軽減することを目的としており、その使途に制限はない。 (3)本制度の福祉上の位置付け等 本制度は、市長の立法である要綱によって設けられた市独自の補助制度であり、基本的な生活保障制度に付加した福祉サービスである。 4.昭島市の財政状況 歳入は極めて厳しい状況にある。市税収入は、平成9年度(185億)をピークに減少し、国都支出金や地方債等の非自主財源のウェイトが高くなっている。一方、歳出の内、扶助費は、平成元年度(40億円)から平成14年度(71億円。但し、従来は扶助費として分類されていた老人保護措置費は、介護保険制度の施行に伴い、平成12年度から介護保険特別会計に移行)までの推移をみると1.77倍になっており、しかも児童福祉費(37億円)や生活保護費(24億円)のウェイトが大きい。そのため、昭島市では、新たな福祉事業に対応するためにも平成16年度から福祉予算を前年に比べて10%カットする目標を打ち出し、福祉制度の見直しを図っている最中である。 5.タクシー料金体系の変遷と福祉タクシー制度 申立人は、「タクシー券補助額はタクシー料金値上げに連動しているから、タクシー料金値上げに連動してタクシー券補助額も増額すべきである」と主張するが、両者は連動しておらず、申立人の主張に理由はない。 (苦情申立ての趣旨に対する判断) 1.申立人の「同要綱の改正を撤回し、援助の上限を従前通り(限度量60リットル)とする」との苦情申立ての趣旨に添った勧告等を行うことはできない。 2.その理由は、次の通りである。 (1)本制度は、市独自の付加的福祉サービスであり、市の財政状況に応じて実施されるべきものであるが、昭島市の財政状況が極めて厳しい状況にあることは前述した通りであり、付加的給付の切り下げはやむをえない。 (2)本制度と福祉タクシー制度は、心身障害者の生活圏拡大を目的とした同一目的の制度であり、1人当たりへの補助額が大きく異なる合理性は見いだせない。 なお、申立人は、福祉タクシー制度の補助額自体が低額だと主張するが、福祉タクシー制度も市独自の付加的福祉サービスの一環であり、前述した昭島市の財政状況からして、現状以上の値上げは非現実的である。 3.補足意見 但し、改正手続の不当性についての申立人の指摘は、もっともと考える。行政は、市独自の付加的福祉サービスであり要綱で定めた事項であっても、利用者に不利益な変更を行う場合には、出来る限り事前に利用実態の調査や利用者の意見聴取を行い、それが困難な場合には、少なくとも広報等を通じて変更の理由を説明し、利用者の理解を促すべきである。 |