Hi,あきしま第41号
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2家事ハラから考える男も女も幸せになれる働き方特集男女共同参画講演会生活のしやすさ、働きやすさを数値でみる健康的で文化的な生活ができるかを示す指標として人間開発指数があります。2009年のデータでは日本は世界で10位です。一方、女性が社会の意思決定に参加できているかを示した指標もあり、この指標によると日本は2009年で134ヶ国中101位です。これらの数値から日本は健康面、生活面では良い社会なのですが、女性が政治面や経済面での発言力があって、経済的にも自活していけるかどうか、という観点で見ると順位が低い社会だということが見えてきます。経済が発展すると女性が社会に出て行けるようになるというのが普通ですが、日本は女性が外に出ないで男性が頑張って女性を養う、女性もそれが幸せだという価値観を変えずにいます。女性も男性も家事、育児そして職場でも働ける社会家事を抱えている女性が外で働くことが困難な状況です。それは家事、育児に費やす時間を見込んだ労働時間になっていないためです。家事や育児、介護を担っている働き手を排除して、お金を稼げなくする。これを私は「家事労働ハラスメント」と名付けました。女性が活躍できる社会を目指し、ワーク・ライフ・バランス施策などが進みつつありますが実際はまだまだです。人間は家事と外での仕事の両方を持っている。家事、育児を担い、そして職場でも働く人間が、人間としての普通の姿だということが認識されていません。また、そのような社会構造が大きな問題です。男女雇用機会均等法と 女性の進出、所得の改善男女雇用機会均等法が1985年に出来て以来、男女は職場で均等に働けるようになったのに、どうして女性の所得が低いのか。国税庁の調査で見ると、1986年は均等法の施行の年ですが、給与所得が300万円以下の女性が8割もいました。このような状況でしたから結婚するしかなかったし、裁判所も女性は離婚したらホームレスになったり、路頭に迷ったりすることもあるので簡単に認めませんでした。10年後の1996年には300万円以下の給与所得者が6割強に減っています。8割強もいた300万円以下の給与所得者が均等法後は大幅に減って、稼げる女性が増えたという意味では均等法は成功しましたが、別の見方をすると均等法ができたのにまだ300万円以下の給与所得者が6割もいるということは問題です。30代女性が働ける労働時間日本、韓国は30歳代で働く女性の労働力率が下がります。スウェーデンの場合、出産適齢期の20代・30代になっても労働力率は下がっていません。それは、仕事と家事の両方できる労働時間が当たり前になっている社会だからです。保育の施設も整っているので子どもを預けて働くことが出来ます。女性が活躍し輝く社会にするためには30代の労働力率を上げていかなければなりません。日本でもこの率は上がりつつありますが、それは保育園が良くなったとか労働時間が短くなったからではなく夫の賃金が不安定化して安くなっているので、妻は少しでも働いて生活を支えようと、育児の合間にパートで必死になって働いているから上がっているという残念な上がり方です。非正規社員の増加と正社員の減少、不安定な雇用男女雇用機会均等法ができた1985年来、非正規雇用はどんどん増え、1995年には女性の正社員が60.9%に減りました。更に10年後には47.5%に減り、働く女性の正社員は少数派になってしまいました。2011年、2012年と今も少しずつ減っています。家庭と仕事の両立家事ハラから考える男も女も幸せになれる働き方講師 竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学教授)平成27年12月6日に竹信三恵子さんをお招きし「男も女も幸せになれる働き方」をテーマに男女共同参画講演会を開催し、家事労働からみた女性の働きにくさ、男性の働きにくさについてお話を伺いました。その内容の一部を紹介いたします。特集男女共同参画講演会

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