Hi,あきしま第45号
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3団塊世代の生き方インタビュー人生の整え方Hi,あきしま特集特集1970年以降の10年間に、核家族は爆発的に増えました。ですから、私は、核家族の良い点も悪い点もわかります。良い点としては、親から離れる自由さと同時に経済的自立心を養えたことや、自分の子どもを自分たちの方針で育て易くなったということ。反対に悪い点としては、殆どの家事を含め、母親一人で担うことになったことや、子どもとの関係性で親対子という単純すぎる直接対決の場が多くなり、子どもの逃げ場が少なくなったことかと思います。私も全部自分でやってきました。常にいろいろと知恵を絞りました。実家は近かったけれど、頼れる母がいないわけで、兄に少し保育園の送り迎えなど手伝ってもらったことはありました。また、近所の人に子どもを1時間ほど見ていただくこともありましたが、今思うとそういうことも数えるほど。そのうえ、父親も長男でしたし、夫も長男でしたから、父母の苦労の姿も、十分見てきています。親戚付き合い等もそれはもう…よくやってきたなと思います。自分の人生は自分で始末したい若い頃から、わりあい好んで親しんでいた、哲学、宗教学、心理学、教育学などから、いろいろなものを総合的に考えて、人間って一人で生まれて一人で死んでいくのだと立ち返れた自分が常にいました。40代の頃でしょうか。我が子たちに対して、「この子たちも自分のモノでは全然ないよね。自分が産んだはずだけど、3人とも全然違う。」と、それぞれの子の違いをすごく感じるようになりました。それぞれ自分の足で生きていってもらわないと、親として困ってしまうとも思いました。私が我が子たちに伝えたかったのは、自分でやることには責任を持ちなさいということです。男も女も関係なく。自由にいくらやってもいいけど、自由と責任は必ずセット。どんな好きなことをやってもいい、どんな職業に就いてもいい、どんな人と結婚してもいい、どれも自分の判断でやればいいけど、それには責任がついてくるものだと。このことが、私の子育ての中で一貫してありました。昭島への移住 断ち切る勇気今から7年前、姑が亡くなったことが、すべてを整理して昭島へ移住するきっかけになりました。奈良にずっとこだわる必要がないという考えがそこで生まれたのです。姑が亡くなった3カ月後に相続の話になり、私たち夫婦は、姑が残したお金も家や土地も全て放棄しました。例えば、お金だけ欲しい、ではうまくいきません。おかげで相続関係もすんなりいき、姑が亡くなって半年後には重荷がなくなったわけです。ただ、その時まで姑が住んでいた家だけが、不動産として夫の弟のものになって残っている状況でした。夫と話をして、息子の住んでいる昭島へ移住する決断をしました。それから私たちは、1年間をかけて奈良と昭島を行き来し、春夏秋冬の季節感を確認しながら、住まいを探しました。なぜ昭島だったかというと、死ぬ時は息子の市町村と同じ方が便利と思ったからです。一番お世話になる人と同じ市町村だと手続き等が便利でしょ。見つけた住まいは、息子の家の半径1㎞以内、自転車で10分くらいと距離的にも、丁度いいところです。息子は、このことを喜んでくれていて、「ただ来たのではなくて、全て整理して来てくれたのが、一番嬉しい。」と言ってくれました。最後の年賀状私はまだ71歳ですが、今回を限りに、年賀状でのご挨拶を最後にしますとみなさんに綴りました。これを書いてまた肩の荷が下りました。年賀状も何十年、何百枚と書いていた時期があったので、宿題のようで毎年11月になるとしんどかった…。昭島に来る時にほとんど減らして、たった百枚ぐらいにしたのですが、今の時代だから、メールでも、ラインでも、電話もありますよね。なにより、これを出しておかないと、私たちが死んだ時に、息子たちが、私たちの名簿を探して喪中の葉書を書かなければなりませんからね。それは無理だと思ったのです。これからは、引き算から新しいものを生みだそう若い時は、貪欲に得たいものを得て、食べたいものを食べて、いろいろなことをやってきたけれど、10年以上前から、シンプルライフを目指しています。そのためには、今まで生きてきて吸収したことや経験を踏まえて、足し算ではなく、今あるものを整理しながら、引き算から新しいものを生み出していきたいと考えています。洋服も、今や買うものがなくて、自分の古い服や、昔の絹の着物をリメイクしたものも多くなっています。着物も何十年も前の生地でも、良いものは全部洋服にリメイクします。もし、自分が気に入っている色や柄や生地、そういうものがあれば、捨てる前に、他のもので何か役に立たないかな、何かに使えるかなと1回はちゃんと考えてみると、いろんな知恵が浮かぶようになると思いますよ。中上さんの生き方は、常に「自分の生き方」を中心に据えながらも、周りの人のことも含めて考えていらっしゃるから潔く、素敵なのだと思いました。サロン「サークル杵柄」は、月1回、原則第2火曜日の午前9時から玉川会館で開催されています。【「サークル杵柄」連絡先】kinezuka.akisima@gmail.com

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