Hi,あきしま47号
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7Hi,あきしま今は利用できる制度、民間サービスもいっぱいあって、それを利用するのは悪いことではない。家族が全部やらなければいけないということはありません。ここはやっぱり使っていかないと仕事は続けられないと思います。仕事と育児の両立会社では「子育て中の女性は大変だからあまり負荷を掛けちゃいけないぞ」と思っている人が結構います。で「辞めないでくれればいい」と言っていますが、これでいいのかという話です。やはり子育て中の女性を優遇するのではなく、皆が働きやすい環境をつくらなければならないなと思います。あとは「辞めなきゃいい」じゃなくて「活躍してほしい」ですよね。次の時代を背負っていってほしいじゃないですか。そういう気持ちで子育て中の女性と接していかないと、優秀な人であっても会社の扱いによっては活かすことができないと思っています。育児短時間勤務というのがあって、法律では子どもが3歳まで短時間勤務が可能です。通常の会社で8時間だとすると6時間で帰ったりできる。ただ、短時間勤務については使い方を考えないとまずいと思います。なぜ短時間勤務を使うのか。残業があったら保育園のお迎えに間に合わないため、夫婦のどちらかが短時間勤務を使えば、早めに上がって保育園に行ける。その時に現状だとほぼ100%妻の方が時短制度を使っているんです。そうすると帰りは妻が迎えに行って子どもの寝かし付けまでやる。だから夫自身は働き方があまり変わらない。帰りも遅いし出張も多い。でも女性は相当ブレーキを踏んでいるわけなんです。妻に任せておけば大丈夫ということで、夫はあまり変わらないまま、夫婦間の役割がどんどん分かれていく。夫としてはずっと仕事中心。妻としては、夫の帰りが遅く、家事も育児もやらないとなると、子どもが3歳まで(大企業だと小学校就学前まで)、第2子が生まれたりするともっと長い期間、ずっと短時間勤務。短時間勤務はその期間が長ければ長いほど経験できる仕事の量や、与えられる仕事の内容がやっぱり変わってくるんです。そうすると妻にとってのキャリア経験の機会の損失になってしまいます。介護も介護休業期間まるまる介護をするのではなく、また戻って来て働ける状況を作る。同じように短時間勤務も、上限まで使うのをあたりまえにするのではなく、戻れるのであれば、なるべく早く戻れる状況を作ることを考えないといけない。普段から夫と二人で妻がフルで戻れる準備を進めていかないとダメですよね、という事なんです。男性の育児参画がなぜ必要なのかというと、今と昔とでは状況がすごく違うと思います。子育て家庭の8割以上が核家族、家事育児の担い手が限られている家庭が増加している。そうなると夫が育児をするかどうかで、女性の職場での能力の発揮ぶりに差がついてくると思っているんです。キャリア形成について考える子育て経験というのはいいなと思います。人の成長に関わる喜びを体感でき、自分以外の人に支えられていることも感じられる。子どもは時間通りにいかないし、自分の思うとおりにいかない。だから自分の計画に固執せずに対応ができるようになります。そして、そんな制約があるからこそ自分にとって働く意味を考えられる。生活のために働くというのもそうですけど、自分はこの働きをどう社会に還元するのかとか、どういう意味を持つのかと考えることはすごく大切だと思ってるんですね。あとは次の時代を意識して物事を考えることができる。自分のことではなく、先のことが見えるのも、すごく仕事にも活きてくると思います。介護や病気など、いろいろな状況に当てはめても、転用できるような考え方だと思っています。次にキャリアについてです。キャリアは主体的に作っていき、会社が与えるものではないという話です。今、人生100年、70歳まで働ける社会と言われていて、働く事がずっと続いていくわけですよ。それを自分でどうやって主体的に作っていくのか。自分の守備範囲を広げ、理解を深め、経験を積んでいく。周囲からも信頼を得られるような働きをしていくと、上位職というものを打診されることもあるかもしれません。やっぱり一般社員が見る景色と上位職からのものでは変わってくると思いますし、裁量権の拡大、仕事の楽しさ、後進育成、組織貢献なんかも実感できるようになってくると思います。だから私生活も大切にしながら、与えられた仕事も工夫してやっていくことは、自分のキャリア形成にも活きてくると考えています。終わりに「最も強いものが生き残るのではなく、最も賢いものが生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは変化できるものである」というダーウィンの言葉がありますが、これは日本企業にとっても同じで、変化する、時代に併せて変わっていくという柔軟性を持っていることが大切なんだと思っています。講演風景

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