○昭島市防災条例
平成28年3月28日
条例第10号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 災害の予防対策(第8条―第22条)
第3章 災害の応急・復旧対策(第23条―第27条)
第4章 災害の復興対策(第28条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、防災対策について基本理念を定め、市民、自主防災組織、事業者及び昭島市(以下「市」という。)の責務を明らかにするとともに、災害の予防対策、応急・復旧対策及び復興対策に関する施策の基本的な事項を定めることにより、防災対策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民等の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的とする。
(1) 災害 地震、暴風、竜巻、豪雨、洪水その他の異常な自然現象又は大規模な火事、爆発等により生ずる被害をいう。
(2) 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、並びに災害からの復旧及び復興を図ることをいう。
(3) 市民 市の区域内(以下「市内」という。)に居住する者をいう。
(4) 市民等 市民並びに災害時に市内に滞在する者及び市内を通過する者をいう。
(5) 自主防災組織 共助の考え方に基づく市民の自発的な防災組織として市に届出があったものをいう。
(6) 事業者 市内に事業所、事務所その他の事業活動の拠点(以下「事業所等」という。)を有する法人その他の団体及び個人をいう。
(7) 防災関係機関 警視庁、東京消防庁その他の防災対策を実施する東京都の関係機関及び災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第2条第3号から第6号までに規定する機関をいう。
(8) 帰宅困難者 災害による交通機能の停止により、徒歩で容易に帰宅することが困難となる者をいう。
(9) 要配慮者 高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦その他の災害時において特に配慮を要する者をいう。
(10) 避難行動要支援者 要配慮者のうち、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するものをいう。
(基本理念)
第3条 防災対策は、自らの身の安全は自らが守るという自助の考え方、自分たちのまちは自分たちで守るという共助の考え方及び行政が市民等の安全を確保するという公助の考え方に基づき、市民、自主防災組織、事業者及び市がそれぞれの責務と役割を果たし、相互に連携して取り組むことを基本として行われるものとする。
2 防災対策は、市の地域の特性を踏まえ、要配慮者及び年齢、性別等による多様な主体の視点を反映するとともに、災害を可能な限り最小化するという減災の考え方を基本として行われるものとする。
(市民の基本的責務)
第4条 市民は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自発的かつ積極的に防災活動を行うとともに、相互に協力して災害に立ち向かうことのできる良好な地域社会を形成するよう努めるものとする。
2 市民は、自主防災組織の結成に努めるものとする。
3 市民は、自主防災組織、事業者、消防団、防災関係機関及び市が実施する防災活動に協力するよう努めるものとする。
(自主防災組織の基本的責務)
第5条 自主防災組織は、基本理念にのっとり、共助の中核をなす組織として自発的かつ積極的に防災活動を行い、地域のつながり及び防災力を強化するとともに、市民の自主防災組織への加入促進に努めるものとする。
2 自主防災組織は、事業者、消防団、防災関係機関及び市が実施する防災活動に協力するよう努めるものとする。
(事業者の基本的責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その社会的責任に基づき防災活動を行い、事業所等及びその周辺において来訪者、従業員等の身の安全を守るよう努めるものとする。
2 事業者は、自主防災組織、消防団、防災関係機関及び市が実施する防災活動に協力するよう努めるものとする。
(市の基本的責務)
第7条 市は、基本理念にのっとり、災害から市民等の生命、身体及び財産を守るため、昭島市地域防災計画に基づき、災害の予防対策、応急・復旧対策及び復興対策を行わなければならない。
2 市は、前項に規定する対策を行うに当たり、市、市民、自主防災組織、事業者、消防団、防災関係機関及び他の地方公共団体が有機的に連携し、防災活動が一体的かつ効果的に行われる仕組みを構築するよう努めなければならない。
3 市は、第1項に規定する対策をより確実なものとするため、市の職員に対し、研修、訓練等の機会を設け、防災に関する意識の向上を図るとともに、必要な知識及び技術を習得させなければならない。
第2章 災害の予防対策
(災害の予防対策の基本方針)
第8条 市は、減災の考え方に基づき、災害が発生した場合における応急・復旧対策を円滑に行うため、市民、自主防災組織及び事業者の協力を得て、消防団及び防災関係機関と連携し、災害の発生に備えた多面的かつ効果的な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
2 市民、自主防災組織及び事業者は、相互に協力し、災害の予防のための防災活動を行うよう努めるものとする。
(災害に強いまちづくりの推進)
第9条 市は、道路、公園等の都市基盤の整備、市街地の整備、公共施設の耐震性及び耐火性の確保等の施策を通じて、災害に強いまちづくりを総合的に推進しなければならない。
(市民及び事業者の災害への備え)
第10条 市民は、次に掲げる事項について、自ら災害に備える手段を講ずるよう努めるものとする。
(1) 初期消火に必要な用具の準備及び技術の習得
(2) 最低3日分の飲料水、食糧等生活必需品の備蓄
(3) 家具類の転倒、落下及び移動の防止
(4) 避難の経路、場所及び方法についての確認
(5) 自ら所有し、又は管理する建築物の耐震性及び耐火性の確保
(6) 自ら所有し、又は管理する建築物への浸水の防止
(7) その他必要と認められる手段
2 事業者は、前項に規定する災害に備える手段を講ずるほか、従業員に対しその周知徹底を図るよう努めるものとする。
3 市は、市民及び事業者が前2項の規定に基づく措置を講ずるよう、防災関係機関と連携し、防災に関する知識の普及及び意識の啓発を図るとともに、必要な支援を行わなければならない。
(自主防災組織の活動の充実)
第11条 市は、自主防災組織の活動の充実を図るため、その活動において中心的な役割を担う者を育成するとともに、資器材の整備その他の必要な支援を行わなければならない。
(応急対応力の強化)
第12条 市は、災害時の応急対応を的確かつ迅速に行うため、食糧及び物資の確保、消火・救助・救急・医療活動体制の整備等について、あらかじめ自主防災組織、事業者、消防団、防災関係機関及び医療機関との連携を図り、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(情報連絡体制等の整備)
第13条 市は、災害及び防災に関する情報を的確に市民等、自主防災組織及び事業者に伝達するとともに、避難指示等を適時に行うため、あらかじめ防災関係機関との情報連絡並びに市民等、自主防災組織及び事業者への情報伝達の体制を整備しなければならない。
(一部改正〔令和3年条例17号〕)
(避難行動要支援者の支援体制の整備)
第14条 市は、避難行動要支援者に対する安否確認及び必要な支援が行われるよう、あらかじめ自主防災組織、消防団、防災関係機関、民生委員、要配慮者が属する団体、社会福祉施設等との連携及び協力の体制を整備するよう努めなければならない。
(帰宅困難者の支援体制の整備)
第15条 市は、帰宅困難者への対策を円滑に行うため、帰宅困難者を一時的に受け入れる施設の確保、帰宅の支援等について、あらかじめ事業者、防災関係機関及び他の地方公共団体との連携及び協力の体制を整備するよう努めなければならない。
2 事業者は、災害時において、従業員の一斉帰宅を抑制するため、あらかじめ必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(土砂・浸水災害対策)
第16条 市は、台風、集中豪雨等による土砂災害及び浸水災害に備えるため、これらの発生するおそれがある箇所又は区域に関する情報の周知、災害時の避難体制の確立その他の必要な措置をあらかじめ講じなければならない。
(避難所運営体制の整備)
第17条 市は、災害時の避難所の運営を円滑に行うため、避難所の種類に応じ、あらかじめ避難所となる施設の管理者、市民、自主防災組織等との連携及び協力の体制を整備するよう努めなければならない。
(居宅被災生活者の支援体制の整備)
第18条 市は、居宅において被災生活をする者(以下「居宅被災生活者」という。)に対する情報の伝達及び必要な支援が行われるよう、あらかじめ自主防災組織、防災関係機関、民生委員等との連携及び協力の体制を整備するよう努めなければならない。
(ボランティア活動体制の整備)
第19条 市は、災害時のボランティアによる活動が円滑に行われるよう、あらかじめ社会福祉協議会、ボランティア団体等との連携及び協力の体制を整備するよう努めなければならない。
(業務継続計画の策定等)
第20条 市は、災害時に優先されるべき業務の継続及び通常業務の早期復旧を図るために必要な手段、体制等を定めた業務継続計画をあらかじめ策定し、定期的にその検証を行わなければならない。
2 事業者は、前項に規定する業務継続計画をあらかじめ策定し、必要に応じてその検証を行うよう努めるものとする。
(他の地方公共団体等との協定)
第21条 市は、他の地方公共団体、事業者等と災害時の応援協定による連携を進め、あらかじめ災害の応急・復旧対策の実施体制を確保するよう努めなければならない。
2 市は、前項の規定により他の地方公共団体と応援協定を締結するときは、相互の応援が図られるよう努めなければならない。
(防災訓練)
第22条 市は、市民、自主防災組織及び事業者の協力を得て、消防団及び防災関係機関と連携し、防災訓練を実施しなければならない。
2 自主防災組織及び事業者は、防災訓練を実施するよう努めるものとする。
3 市民は、前2項の規定により市又は自主防災組織若しくは事業者が実施する防災訓練に参加するよう努めるものとする。
第3章 災害の応急・復旧対策
(災害の応急・復旧対策の基本方針)
第23条 市は、災害が発生し、又は発生するおそれがあるときは、市民等の生命及び身体の安全の確保を最も優先し、災害の最小化を図るため、市民、自主防災組織及び事業者の協力を得て、消防団及び防災関係機関と連携し、災害の予防対策における施策の効果を最大限に発揮させるとともに、状況に応じた適切な措置を講じなければならない。
2 市民、自主防災組織及び事業者は、相互に協力し、災害の応急・復旧のための防災活動を行うよう努めるものとする。
(災害情報等の収集及び伝達)
第24条 市は、災害が発生し、又は発生するおそれがあるときは、防災関係機関と連携し、災害及び防災に関する情報を速やかに収集しなければならない。この場合において、市民、自主防災組織及び事業者は、自ら知り得た災害に関する情報を市へ提供するよう努めるものとする。
2 市は、前項の規定により収集した情報を基に、市民等、自主防災組織及び事業者に対し、災害及び防災に関する情報を的確に伝達するとともに、避難指示等を適時に行わなければならない。
3 市民、自主防災組織及び事業者は、前項に掲げるもののほか、防災関係機関等が提供する災害及び防災に関する情報を収集するよう努めるものとする。
(一部改正〔令和3年条例17号〕)
(初動対応)
第25条 市民は、災害が発生した場合における初期の対応(以下「初動対応」という。)として、自身及び家族の身の安全を確保したうえ、出火防止、初期消火等に努めるものとする。
2 自主防災組織は、初動対応として、初期消火、避難誘導、安否確認、救護活動等に努めるものとする。
3 事業者は、初動対応として、事業所等及びその周辺において来訪者、従業員等の身の安全を確保したうえ、災害に関する情報の提供、避難誘導、初期消火、救護活動等に努めるものとする。
4 市は、初動対応として、必要に応じて昭島市災害対策本部を設置し、市民、自主防災組織、事業者、消防団、防災関係機関及び医療機関との連携の下、消火・救助・救急・医療活動等の応急対策に万全を期さなければならない。
(被災者への対応)
第26条 市は、災害が発生し、又は発生するおそれがあるときは、必要に応じ避難所を開設し、避難者に対する必要な支援を行わなければならない。
2 市は、災害が発生したときは、事業者及び防災関係機関と連携し、帰宅困難者の発生状況を速やかに把握し、必要な支援を行わなければならない。
3 市は、災害が発生したときは、居宅被災生活者の発生状況を速やかに把握し、必要な支援を行わなければならない。
(公共施設等の復旧)
第27条 市は、災害が発生した場合において、公共施設又は道路、水道、下水道その他の生活必需施設の機能が低下し、又は損なわれたときは、市民生活の早期再建に資するため、防災関係機関と連携し、これらの施設を速やかに復旧するよう努めなければならない。
第4章 災害の復興対策
第28条 市は、災害により都市の復興並びに市民生活の再建及び安定のための事業を速やかにかつ計画的に実施する必要があると認めるときは、全力を挙げて災害の復興対策を推進しなければならない。
2 市民及び自主防災組織は、市民生活の再建を図るとともに、前項の規定により市が推進する復興対策に協力するよう努めるものとする。
3 事業者は、市民生活の安定化に資するため、事業の継続又は早期再開を図るとともに、第1項の規定により市が推進する復興対策に協力するよう努めるものとする。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和3年7月7日条例第17号)
この条例は、公布の日から施行する。