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昭島市

令和6年度施政方針

更新日:2024年03月25日

令和6年第1回市議会定例会の初日(2月27日)に、臼井伸介市長が施政方針を表明しました。その概要を掲載します。

はじめに

早いもので、私が、市民の皆様から負託を受け、首長としての重責を担うことになりましてから、8年目の春を迎えております。この間、市民の皆様をはじめ、市議会議員各位にも御理解と御協力を賜りましたことに心より感謝申し上げます。

令和6年は、昭島市が昭和29年5月に昭和町と拝島村が合併し、東京都で7番目の市として市制を施行してから70年、人の年齢で言うところの古希を迎える年であります。市制施行当時3万6千人であった人口は、現在では11万4千人を超え、「人間尊重」と「環境との共生」をまちづくりの普遍的な理念として継承する中で、安全で利便性に富んだ都市基盤と、水と緑の自然環境が調和した快適な住宅都市として、着実に発展を続けております。

本市のこれまでの歩みを改めて振り返り、市政の振興・発展に御尽力を頂いた先達に感謝し、その御労苦をねぎらいますとともに、この節目の年を新たなスタートと捉え、昭島市の一層の飛躍に向けて、市長就任以来貫いてまいりました現場主義、そして市民本位の市政運営に全身全霊をささげてまいる所存であります。

また、岩手県岩泉町と育んでまいりました小学生国内交流事業の開始から30年、「水と緑でつながる岩泉・昭島友好都市協定」締結からは10年目の節目を迎えます。
本年は、これまでにも増して岩泉町と強固な友情で結ばれ、各分野において交流や協力が広がりをみせ、それぞれの繁栄につながる、そうした関係の深化に資する取組を、市議会の皆様にも御協力をいただきながら進めてまいります。

平和への思い

世界では、今なおこの瞬間も、終結を見いだせない悲惨な戦争が続いております。2022年2月に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻、昨年10月から続くイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの軍事衝突など、多くの罪なき市民、子どもの尊い命を奪い、そして、戦火におびえる人々を苦しめている痛ましい状況を思いますと、憂慮に堪えません。

昨年の12月、エッセイストの海老名香葉子さんらを、お招きして実施いたしました平和事業は、市制施行70周年の幕開けとして、市民の皆様と一緒に、改めて平和の大切さについて考えたいとの強い思いから企画したものであります。
東京大空襲を体験された海老名さん、そして、ウクライナから避難されてきた方の想像を絶するエピソードの数々、平和への願いが込められた音楽はいずれも、魂のこもったメッセージとして、強く胸に響くものでありました。
このイベントで披露されました「ババちゃまたちは伝えます」は、ウクライナで続く戦禍に心を痛めた海老名さんが、平和を希求して、「地球上に戦争がなきように」と綴った詩から生まれた楽曲です。
私自身も改めて、この詩に込められた祈りを胸に、戦争のない平和な世の中の実現に向け、市民の皆様とともに、一歩一歩着実に、その歩みを進めてまいります。

こうした中、我が国周辺を取り巻く安全保障環境は、軍事的示威活動の急速な拡大・活発化により、これまで以上に厳しく、複雑な状況に直面しているものと捉えております。
日米地位協定に基づき提供・運用がなされている米軍横田基地が、我が国の平和と安全のために果たす役割は、重要度を増しているものと認識しておりますが、昨年11月、横田基地に所属するCV-22オスプレイが鹿児島県屋久島沖合で墜落し、8名の尊い命が失われました。お亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、御遺族並びに関係者の皆様に対し哀悼の意を表したいと存じます。

今般の事故に関しましては、本市としても大変重く受け止めており、東京都や基地周辺市町と連携し、国や米側に対して厳重に抗議をし、安全が確認されるまでの飛行停止や、安全確保の徹底、及び速やかな情報提供等について直ちに要請を行いました。
基地周辺地域にあっては、横田基地の運用により、日常生活にも著しい影響が及んでいるものと認識しており、引き続き、市民の皆様の声を受け止め、東京都や基地周辺市町との連携を基軸に、また、市議会の御協力をいただきながら、諸課題の解決に向けて取り組んでまいります。

市政運営に当たっての基本方針

次に、市政運営の基本方針について、申し上げます。

自然災害への備え

新年を迎えた日の夕刻に発生した、能登半島を震源とする巨大地震により、多くの尊い命が失われましたことに、深く哀悼の意を表するとともに、この一連の地震により被害に遭われた皆様に謹んでお見舞いを申し上げます。
被災地域の一日も早い復興と、被災者の皆様に平穏な日常が戻りますことを、心よりお祈りいたします。

報道から伝わってくる被災地の惨状に触れ、支援策を思案していましたところ、先ほど申し上げました海老名さんから、疎開先として過ごし、名誉町民にもなっている石川県穴水町が、地震の被害で大変な状況になっている、昭島の水を送ってほしい、とのお電話を令和6年1月4日の朝にいただきました。

早速、庁内関係部署で連携し、また、災害協定を締結しております市内企業にも御協力をいただくことで搬送の段取りを整え、お電話をいただいた2日後には、支援物資をお届けすることができました。今後におきましても、これまでの大規模災害時における対応と同様に、国や東京都と連携する中で、被災地域の復旧・復興に向けた支援に取り組んでまいります。

併せて、こうした各地で発生する自然災害への様々な対応から得た経験を教訓として、本市の災害対策にもしっかりと活かし、また、常々申し上げておりますとおり「災害は忘れたころにやってくる。備えあれば憂いなし。」、この言葉の重みをしっかりと胸に刻み、いつ、どこで起こるとも分からない自然災害に対し、万全の備えをしてまいります。

子ども・子育て施策

昨年末に閣議決定されました「こども大綱」、そして「こども未来戦略」に基づき、いよいよ国を挙げての取組が具体化されてまいります。
施策の展開にあたりましては、その全てにおいて、横断的に「子ども・子育ての視点」を持つことが大変重要であります。

子どもが健やかに育つまち、子育てしやすいまちとしての歩みをより一層加速すべく、また、まちの活性化、少子化対策にも繋がるよう、国や東京都の動向を注視いたし、政策の垣根を越えた新たな取組に、全庁連携して臨んでまいります。

脱炭素社会、環境負荷低減への取組

国連、グテーレス事務総長の地球沸騰化時代発言に象徴されるように、地球温暖化に起因する集中豪雨や熱波などの異常気象は、気候変動として頻発し、地球規模で非常に危機的な環境悪化を引き起こしております。人類や生物の存続基盤を揺るがすこの喫緊の課題に対し、望ましい環境像「気候危機を乗り越え、美しい水と緑を将来の世代に」を実現することは、私たちの責務であります。
引き続き、2050年カーボンニュートラル(注1)へ向けて重要なポイントとなる、2030年カーボンハーフ(注2)達成のため、市として事務事業における温室効果ガス排出量についてカーボンハーフを大きく上回る75%削減に取り組むなど、最大限の力を傾注してまいります。

また、昨年12月には、「カーボンニュートラルシティ実現に向けた官民連携のまちづくり」をテーマに、5年ぶりとなる第2回「昭島市まちづくり企業サミット」を開催いたしました。
本市の主要企業など10社の代表の方々が一堂に会し、大変有意義な意見交換を行うことができたものと自負しております。

参加された各企業様からの御発言は、いずれも脱炭素化に向けた時代をリードする取組であり、大変心強く思うと同時に、企業間においても情報共有が進んだことで、カーボンニュートラルシティ実現に向けた動きが加速していくことを確信した次第であります。企業様から頂いた御提言につきましても、本市において実施に向けた検討を行ってまいります。

注1時20分50年までに、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて、実質排出量をゼロとすること
注2時20分30年度までに、市内の温室効果ガスの排出量を、2000年度と比べて50%削減すること

物価高騰への対応

我が国の経済は、30年ぶりとなる高水準の賃上げや、企業の高い投資意欲など、経済の先行きには前向きな動きがみられております。
一方で、賃金の上昇は、物価上昇に追いついておらず、家計への負担は増しているものと認識しております。

令和4年9月から10か月間にわたって実施いたしました水道料金・下水道使用料減免事業につきましては、大変多くの市民の皆様から感謝の声をいただいた事業であり、本年1月から4月にかけて、再度実施しているところであります。
今後におきましても、市民の皆様や事業者の方々に寄り添い、地域経済を支えるため、国の経済対策や東京都の取組とも歩調を合わせ、その時々の状況に応じた施策を講じてまいります。

行政DXの推進・人財の育成と確保

先の読めない、変化の激しい社会情勢下におきましては、機動的な対応が可能となる組織体制の構築と、柔軟な発想のできる人材の育成が肝要であり、そのためには、既成概念にとらわれない業務改善・業務改革と、行政DXをもって市民サービスの充実につなげていく視点が大切であります。
直接顔の見える市民対応や、デジタルデバイド(注3)対策にも十分配意する中で、引き続き、最新のデジタル技術を活用した業務の効率化を推進いたすとともに、「書かない窓口」の導入をはじめ、市民の皆様の利便性の向上に資する、具体的な検討を進めてまいります。

併せて、昨年から参画をしております、国のガバメントクラウド早期移行事業における実証により得られた知見を最大限活かす中で、国や東京都との連携のもと、令和7年度からの確実な稼働に向けた情報システムの標準化に取り組んでまいります。

また、時代の要請に応え、各般にわたる施策を展開していくためには、それを担う職員の確保と育成は欠かすことのできない視点であります。
本市のみならず、公務員離れが叫ばれる中にあって、優秀な人財の確保は、大変重要な課題であります。引き続き、人財育成基本計画に基づき職員の育成を進めるとともに、多角的な手法による多様な人財の確保に一層注力してまいります。

注3:インターネットやパソコンなどの情報通信技術を利用できる人とできない人の間に生じる格差

老朽化の進む公共施設などへの対応

市民サービスの維持・向上を前提といたし、公立小・中学校校舎や、あいぽっく、市役所本庁舎をはじめとする各施設について、それぞれの老朽度合いに応じた長寿命化に取り組むなど、引き続き、公共施設等総合管理計画に基づき、適切な維持管理に努めてまいります。

学校教育

具体的な教育施策につきましては、後ほど教育長から申し述べさせていただきますが、私からは、教育に対する基本的な考え方について申し上げたいと存じます。
引き続き、教育委員会委員の皆様と意見を交わす中で、教育委員会と市長部局との強固な連携により、責任ある教育の実施に努めるとともに、子どもたちの成長をしっかりと支え、昭島の未来、我が国の未来を担う人材の育成に向け、全力で取り組んでまいります。

予算編成の大綱

これらの基本方針に基づき取りまとめた、令和6年度の一般会計及び特別会計を合わせた予算総額は、物価高騰や労務単価の上昇に加え、脱炭素化の推進、自治体DX、子育て支援などへの対応から、対前年度比2.0%増の775億7671万6千円と、過去最大規模となりました。

持続可能な行財政運営を基本とした中長期的な見通しを持って、財政調整基金についても過去最大の22億7000万円を取り崩す中で、私のモットーであります飛耳長目を胸に刻み、自らの目で市民の皆様にとって何が一番大切かを見極め、目指すまちづくりを着実に進める予算として取りまとめたところであります

それでは、令和6年度予算案における主な施策の取組について、総合基本計画の施策体系に沿って申し上げます。

主な施策

安全で安心して住み続けられるまち

初めに、「安全で安心して住み続けられるまち」についてであります。
先にも申し上げました令和6年能登半島地震をはじめとして、近年の災害では、特に災害弱者と言われる方が犠牲となる割合が高くなっております。こうした背景を十分に踏まえ、災害時の避難に際して支援を要する方が、身体や居住状況など個々の特性に合った支援により、迅速かつ円滑に避難できるよう、関係各所と連携する中で、避難行動要支援者個別避難計画の作成を加速してまいります。
また、昨年導入いたしました大型マルチスクリーンを最大限活用し、災害対策本部機能を強化いたすとともに、災害時の医療用のテントをはじめとした、資機材、医薬品等を充実し、医療救護体制の確保を図るなど、災害対策の充実・強化に努めてまいります。

互いに支え合い、尊重し合うまち

続きまして、「互いに支え合い、尊重し合うまち」のうち、コミュニティ活動の推進についてであります。
自然災害が頻発する昨今にあっては、共助の視点に立ち、地域で支え合うことができるよう、日頃から顔の見える関係を構築していくことが重要であります。
地域課題の解決に向け、また、防災・減災を基軸とした、これからの時代にふさわしい地域コミュニティのあり方について、具体的な検討を進め、新たに「(仮称)地域コミュニティ活動連携推進計画」を策定いたします。

市民総合交流拠点施設の整備につきましては、令和7年の開設に向け、安全かつ着実に新築工事を進めるとともに、地中熱や太陽光の自然エネルギー等を活用した環境配慮設備の導入に向けた工事にも着手してまいります。また、地域コミュニティの活性化に資する施設運営の仕組みづくりなど、ハード・ソフトの両面から、地域に愛される、新たな時代にふさわしい拠点施設とすべく検討を深めてまいります。

健康支援・医療体制の充実、及び高齢者・障害者福祉の充実につきましては、がん患者への医療用ウィッグ・補整具購入費等の補助を実施いたし、心理的負担の軽減を図り、社会参加を促進してまいります。

また、高齢者の生活支援や社会参加の促進を図るため、新たに補聴器購入費に対する補助を実施いたしますとともに、拝島駅前の市有地を活用し、民間事業者の御協力を得る中で、障害者地域生活支援拠点の整備を進めるなど、誰もが住み慣れた地域で尊厳を持ち、いきいきとした生活を送れるまちの実現に向けた取組を進めてまいります。

社会保険制度の充実につきましては、市民の皆様の暮らしへ与える影響と、財政運営の状況に十分留意をいたし、市民生活を支えるセーフティネットである国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の安定的な制度運営に努めてまいります。

国民健康保険を取り巻く環境は、引き続き大変厳しい状況にあり、国民健康保険運営協議会に保険税のあり方を諮問いたしましたところ、安定的な制度運営を維持していくためには、保険税率の改定は避けられないとする一方で、被保険者への影響を最小限に抑えるため、併せて一般会計からの繰入金を増額することもまたやむを得ないとの答申を頂戴いたしました。
私といたしましては、現下の社会経済状況や被保険者への影響を十分に踏まえ、熟慮に熟慮を重ねた結果、本年度におきましても、基金を最大限活用することに加え、一般会計からの繰入金の増額により、保険税率の改定、及び賦課限度額の引き上げについても、見送る決断をいたした次第であります。

また、本年度は、事業計画の改定に伴う介護保険料を見直す時期となります。
昨今の物価高騰など、市民生活における大変厳しい状況や、コロナ禍以降の介護保険サービスの利用状況を踏まえ、保険料収入や保険給付の見通しをはじめとする財政運営について、様々な要素を勘案して精査をいたし、第9期となる計画期間においては、介護保険料の基準額を引き下げることを決断いたしました。

同じく保険料改定の年となります後期高齢者医療につきましては、東京都広域連合において、被保険者を取り巻く状況を踏まえ、独自の保険料軽減策を継続するなどの対応に努めてはいるものの、被保険者の増加に加え、医療の高度化などに伴う医療給付費の増加により、必要最低限の見直しをせざるを得ない状況にあります。
被保険者の皆様には御負担をおかけしますが、御理解を賜りたいと存じます。

多様性を認め合える地域の醸成に向けましては、あらゆる分野において、性別に係わりなく、対等な立場での参画が進み、全ての市民の皆様が活躍できる社会を実現するため、男女共同参画プランの着実な進捗を図ります。

未来を担う子どもたちが育つまち

続きまして、「未来を担う子どもたちが育つまち」についてであります。
子どもは国の宝であり、昭島の宝でもあります。子どもたちの健やかな成長を地域全体で支えることは、まさに将来の担い手育成の基礎となるものであります。

「こどもまんなか社会」の実現に向けた国を挙げての集中的な取組と歩調を合わせ、本市におきましては、子ども家庭部を、司令塔機能を備えた新たな組織へと再編いたし、強力な推進体制のもと、各般にわたる子ども施策を推し進めてまいります。

併せて、全ての妊産婦・子育て世帯・子どもに対する一体的な相談・支援をマネジメントする担当課長を配置するとともに、令和7年4月からの(仮称)子ども家庭センター開設に向け、アキシマエンシス校舎棟の改修工事を実施いたします。

具体的な子ども施策といたしましては、子どもたちの意見聴取・表明のための(仮称)あきしま子ども未来会議を開催いたし、多角的な手法により、子ども目線のまちづくりを進めてまいります。
また、待機児童が常態化している小学校区において、民間事業者への委託により新たな学童クラブを開設いたします。

加えて、学校給食費会計を一般会計に組み込み、会計の透明性を向上させた上で、物価高騰の影響を大きく受ける子育て世帯の経済的負担を軽減するため、本年4月より、公立小・中学校における学校給食費の無償化を実施いたします。併せて、保育施設等の給食におきましても、食材費・光熱費、及び保護者が負担する給食費に対する補助を実施いたします。
さらに10月からは、高校生世代までの医療機関窓口で御負担いただいております一部負担金の撤廃や、国による児童手当制度の拡充など、様々な角度から施策を展開し、子どもたちの健やかな育ちを全力でサポートしてまいります。

また、学校における子どもたちの生活環境の改善に引き続き努めてまいります。とりわけ市内小・中学校トイレの洋式化につきましては、改修計画を大幅に前倒し、本年度から令和8年度までの3か年において、集中的に進めてまいります。

文化芸術、スポーツの振興を図るまち

 続きまして、「文化芸術、スポーツの振興を図るまち」についてであります。
多摩地域の近隣自治体との連携による子ども国際交流音楽祭に参画いたし、子ども達には、一流の音楽家から指導を受けられる貴重な体験を、市民の皆様には、音楽の都ウイーンの演奏者らによるコンサートを鑑賞する機会を提供するなど、文化芸術を身近で味わい、心豊かで潤いのある地域社会の形成に努めてまいります。

また、市民の誰もが、スポーツやレクリエーションに親しみ、心身ともに健康で明るく豊かな生活を送れるまちづくりを進める取組といたしましては、懸案としております、多様な用途での活用を期待できる拝島公園プール跡地や、残堀川調節池のほか、老朽化が進む市内運動施設を含め、将来を見据えた新たなニーズを的確に捉える中で、どういった方向で運動施設を整備、運営していくか、中長期的な視点に立ち、総合的に検討してまいります。

環境負荷を低減し、水と緑の自然環境を守るまち

 続きまして、「環境負荷を低減し、水と緑の自然環境を守るまち」についてであります。
まず、水と緑のまちを実感していただくための取組といたしまして、本庁舎敷地内において、新たな給水スポットを設置いたすほか、南側外構内を西から東へ流れる「せせらぎ施設」、さらには、八清ロータリーの噴水、昭島駅南口駅前広場の壁泉など、夏の季節に涼をもたらす憩いの場であり、水のまちのシンボルである水景施設の再稼働を実施してまいります。
また、70周年記念デザインの「あきしまの水」アルミボトル缶を御希望される市民の皆様へ配布するほか、オリジナル・ウォーターボトルを作成し、市内の小・中学生に配布するなど、使い捨てペットボトルの削減のみならず、本市の宝であります「あきしまの水」の魅力を強力に発信してまいります。

次に、脱炭素社会の実現に向けた具体的な取組といたしましては、新たに大神会館に太陽光発電設備を設置し、公共施設等における省エネ、創電、蓄電を計画的に進めるほか、再生可能エネルギー100%電気及びカーボンニュートラルガスの導入施設を拡充いたします。

次に、ごみの減量化・資源化につきましては、市民の皆様や事業者の方々の御協力を頂く中で、「プラスチック マイナス1運動」をはじめとする取組の着実な進展により、Reduce(発生抑制)に力点を置いた啓発の強化とともに、分別排出の徹底を図ります。

清掃センターにつきましては、引き続き、計画に基づく効果的・効率的な修繕により、適切な維持管理に努めてまいります。

今後の可燃ごみ処理手法につきましては、これまで、調査・研究、処理手法の方針を整理するための検討を進めてまいりました。
市内外の状況や現下の社会経済情勢に鑑み、また、将来のまちづくりを総合的に見据えた上で決定していく必要のある重要課題であり、熟慮に熟慮を重ねたところ、いまいちど、お時間を頂戴し、引き続き、今後の処理手法の方針決定に向けて、関係機関等との相談・調整を具体化しながら、慎重に検討を続けてまいる所存でありますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

快適で利便性に富んだまち

続きまして、「快適で利便性に富んだまち」についてであります。
引き続き、計画的な地域インフラの老朽化対策を実施いたすとともに、自然災害に強い都市基盤の整備を進めてまいります。また、ユニバーサルデザインの導入や、地域環境との調和にも十分に配慮いたし、潤いとゆとりのある都市空間の整備に努めてまいります。

東中神駅周辺における自転車の駐車スペース確保策といたしましては、本市が所有する旧昭島消防署昭和出張所跡地に、新たな自転車駐車場を整備いたし、利用者の利便性向上に取り組んでまいります。
多くの皆様から御要望を頂いております、公園トイレの改修につきましては、遊具等の改修と併せて実施する駒形神社児童遊園を含め、新たに4か所で対応するなど、スピード感を持って計画的に進めてまいります。

また、人口減少社会の進展に伴い、増え続ける空き家への対応につきましては、空家等対策計画に基づき、発生抑制や管理不全な空き家の解消に向けた取組を進めてまいります。

水道事業につきましては、昭和29年の創設以来、70年間一貫して水源を深層地下水に求め、本市の宝である、安全・安心でおいしい水道水の安定供給に努めてまいりました。
引き続き、地下水資源の保全と安全管理に努めるとともに、第二次昭島市水道事業基本計画に基づき、水道事業の着実な推進と、経営基盤の更なる強化に取り組みます。
また、深層地下水の起源と流動のメカニズムをわかりやすく映像化したDVDを、市内の小・中学校に配布するほか、アキシマエンシスや市民ロビーでの放映に加え、SNSなどによる積極的な発信を通じ、貴重な地下水資源の保全意識の醸成を図ってまいります。

下水道事業につきましては、東京都豪雨対策基本方針の改定を踏まえ、雨水管理総合計画の見直しをいたし、浸水のない、安心して暮らせるまちづくりを進めますとともに、経営戦略に基づき、引き続き、持続可能な事業展開と、経営基盤の強化に努めてまいります。

中神駅北側地域につきましては、安全で安心して快適な都市生活を送れるまちづくりの早期実現に向け、中神駅北側地域整備計画に基づき、南文化公園の整備に着手するほか、道路整備の着実な進捗を図ります。また、中神土地区画整理事業を継続する、旧第二工区の駅前ブロックを中心とする区域につきましては、引き続き、土地区画整理事業の早期完了に努めてまいります。

立川基地跡地昭島地区につきましては、隣接する国営昭和記念公園と一体となった緑の空間が確保されるよう、市議会のお力添えをいただき、土地所有者である財務省及び公園管理者である国土交通省に要請を重ねてまいりましたところ、現在、両省においては、昭和記念公園昭島口の拡張整備に向けた検討が進められております。また、同地区につながる都市計画道路の早期整備や、東中神駅南側の開発を契機としたまちの更新など、関係機関等に積極的に働きかけを行い、本市の東の玄関口としてふさわしいまちづくりを進めてまいります。

玉川上水南側のゴルフ場跡地等における、民間企業による大規模開発計画でありますが、本市のまちづくりについての理解を求めるべく、開発事業者と累次にわたり協議を重ねてまいりました。
そうした結果、当初示された土地利用計画に比べ、まとまった緑空間が確保されるなどの計画変更がなされましたが、交通に関しては、依然、多くの課題があると認識しておりますことから、交通管理者である警察等関係機関との連携のもと、開発事業者と協議を行ってまいります。

また、周辺環境への影響につきましても、開発事業者から東京都に提出されました環境影響評価書案を精読し、必要な意見を都知事に提出してまいります。
併せまして、昨年は、ゴルフ場跡地を中心とした地区を対象区域として、昭島市都市計画マスタープランに則した地区計画の策定に向け、検討の段階に応じた懇談会等を開催し、市民の皆様から多くの御意見をいただきました。いずれも「ふるさと昭島」を思う貴重な御意見と受け止める中で、地区計画の策定に加え、代官山緑地の保全等に係る条例制定を視野に、地権者や関係機関と更なる協議・検討を行ってまいります。

生活を支え、活力を生み出すまち

最後となりますが、「生活を支え、活力を生み出すまち」についてであります。昨年は、4年ぶりの開催となりました50周年を迎える昭島市民くじら祭をはじめ、多くのイベントがコロナ禍前と変わらない人出で盛り上がっており、我慢と感染への不安を抱えながら過ごした日々から、日常が戻りつつあると感じた次第であります。
イベント会場では多くの皆様の笑顔に触れ、とても嬉しく思うとともに、地域に賑わいと活気を取り戻そうとする熱意は非常に大きなものであると、改めて、認識をいたしました。
その御期待に応えるべく、また、地域経済の好循環を図るため、たくさんの市民の皆様、事業者の方々と共に70周年を祝い、昭島らしい「楽しい」を実感できることを基本に、くじら祭をはじめ、郷土芸能まつりや産業まつりなど、様々な事業を全庁一丸となり、商工会や観光まちづくり協会など関係機関とも連携する中で盛大に実施いたし、アニバーサリーイヤーを盛り上げてまいります。

以上、私の市政運営に対する基本的な考え方を申し上げました。
世界に類を見ないペースで進む人口減少・少子高齢化や、国際的な原材料価格の上昇と円安の影響などによる物価高騰、全世界共通の課題である地球温暖化への対応など、自治体経営を取り巻く環境は、今後も激しく動いていくものと認識しております。

こうした局面におきましても、目指すまちづくりの実現に向けた歩みを着実に進めていくためには、職員一人一人が課題解決に積極的に取り組むことで、各施策をアップデートし続ける組織へと成長していく姿勢が大変重要であると考えております。
仏教や禅の教えであります「知覚動考(ちかくどうこう)」、これは「知って、覚えて、まず動き、気付きを得て考え、また動いて成果につなげる」、人が成長する過程を示すもので、目の前に大きな困難が生じた時であっても、力強く一歩目を踏み出すうえで、大変前向きになれる言葉であります。
行政のトップとして、率先して「知覚動考」を実践いたし、組織としての成長につなげ、その力を最大限発揮する中で、山積する行政課題の解決に向け、果敢に挑んでまいります。

そして、市制施行70周年を迎える本年が、「水と緑が育むふるさと昭島」、そして、多様性と意外性に富んだ、笑顔があふれる楽しいまち昭島の実現に向け、大きく前進する年となるよう、「自利利他」の考えに立ち、市民の皆様をはじめ、本市のまちづくりに関係するあらゆる主体が、連携を深め、施策の展開を図る、ステークホルダーの視点をこれまで以上に大切にし、また、お力添えをいただく皆様への感謝の気持ちを常に忘れず、市政運営に邁進してまいります。

結びに、重ねて、市民の皆様、また市議会議員各位の御理解と御協力を賜りますよう、心よりお願いを申し上げまして、令和6年度の施政方針とさせていただきます。

お問い合わせ先

企画部 企画政策課(3階8番窓口)
郵便番号:196-8511 昭島市田中町1-17-1
電話番号:042-544-5111
内線:2372・2373・2374
ファックス番号:042-546-5496

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