研究から新種として論文発表へ

ページ番号1010182  更新日 2026年1月25日

昭和38年(1963年)、鯨類研究所の西脇昌治博士と、国立科学博物館の尾崎博博士によって「アキシマクジラ」という通称が命名されました。

昭和39年(1964年)から国立科学博物館に移送された化石は、調査はされていましたが、現在のように便利な道具やインターネットなどもなく、思うように研究が進みませんでした。 

昭和41年(1966年)には、昭島市教育委員会から「アキシマクジラ調査概要」が発行されました。ここでは、化石発掘時の記録と化石のおおよその年代を考察するに留まっています。

その後、化石は平成24年(2012年)3月まで国立科学博物館新宿分館に保管されていました。

本格的な研究が始まる

3人の研究者の顔写真

写真左:木村敏之 群馬県立自然史博物館 主幹学芸員(理学博士)
写真中央:長谷川善和 群馬県立自然史博物館 名誉館長(理学博士)
写真右:甲能直樹 国立科学博物館 地学研究部生命進化史研究グループ長(理学博士)

注意:肩書きは、論文発表当時のものです。


クリーニング作業の写真


平成24年(2012年)3月、化石は群馬県立自然史博物館へ移送され、本格的な研究が始まりました。

はじめに、非常にもろくなった化石のクリーニング作業と補強作業を行いました。ひとつひとつの部位ごとに化石の周りの岩石や化石を覆う石こうなどを細心の注意を払いながらはがしたあと、もろくなった化石を固める作業を施し、研究の下準備をしました。

次に、標本の観察結果をもとに、他の標本との比較が進められました。
クジラの種の違いの最も特徴的な部分は頭蓋(頭の骨)です。
日本をはじめ、世界の博物館に収蔵されているクジラの標本や文献との比較を行うため、海外へ何度も渡航しました。

比較の順序

1.アキシマクジラはどのクジラの仲間か?

頭蓋(頭の骨)付近の多くの特徴から、ヒゲクジラ亜目のコククジラ属である

2.現在生きているコククジラとの違いは?

上顎骨(上あごの骨)や鼻骨の形が異なり、異系統の種レベルの違いがある

3.他のコククジラ属化石は?

保管されているものは、不完全な標本や現生と同種の標本のみで、学術的に確立されているものがない

研究結果

アキシマクジラはコククジラ属の中で最古の化石種であり、これまでに知られていなかった新種のコククジラ類であることが判明しました。

論文発表 新種・学名

生きているときのアキシマクジラのイメージ写真

5年におよぶ研究の結果、平成30年1月1日に「これまで世界で知られていなかったクジラの新種」とする論文が、日本古生物学会の学会誌に掲載されました。

論文名

A new species of the genus Eschrichtius (Cetacea: Mysticeti) from the Early Pleistocene of Japan

訳:日本の下部更新統産コククジラ属(クジラ類:ヒゲクジラ亜目)の新種

学名

Eschrichtius akishimaensis
エスクリクティウス アキシマエンシス
(和名:アキシマクジラ)

注意:学名はラテン語なので、本来はイタリック体です。
 

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