アキシマクジラはどんなクジラだったの?

ページ番号1004658  更新日 2025年12月22日

経過

昭和38年(1963年)
鯨類研究所西脇昌治博士と国立科学博物館尾崎博博士によってアキシマクジラという通称名が命名されました。

昭和41年(1966年)には昭島市教育委員会から『アキシマクジラ調査概要』が発行されました。ここでは、化石発掘時の記録と化石のおおよその年代を考察するに留まっています。その後、化石は平成24年(2012年)3月まで国立科学博物館新宿分館に保管されていました。

写真:国立科学博物館新宿分館外観


平成24年(2012年)3月
群馬県立自然史博物館へ移送され、これより同館で本格的な研究が始りました。

平成28年(2016年)9月に論文投稿

平成29年(2017年)3月に正式受理

平成30年(2018年)1月1日日本古生物学会の英文学会誌に論文掲載

この論文は、同館の長谷川名誉館長、木村主幹主幹学芸員と国立科学博物館の甲能博士の連名で、コククジラ属の新種として認められ、世界にひとつしかない模式標本に指定されました。

写真:「アキシマクジラ」のことが掲載された論文

説明

写真:生体復元イメージ
イメージ

模式標本(Holotype.)=種の記載に際して分類同定の基準となる、世界唯一の標本

論文では、現在生息しているコククジラは、1属1種(学名Eschrichtius robustus) エスクリクティウス ロブスタス(和名はコククジラ)とは異なる新種として

学名:Eschrichtius akishimaensis(ラテン語)
エスクリクティウス アキシマエンシス(和名はアキシマクジラ)と発表されました。

論文発表に至る研究経過と結論

まず研究を始めるにあたって化石のクリーニング(剖出作業)が行われました。

写真:クリーニングと補強作業
クリーニングと補強作業
写真:クリーニングする長谷川名誉館長
クリーニングする長谷川名誉館長

そして標本の観察をし、その結果をもとに他の標本との比較が進められました。クジラの種の違いの一番特徴的なところは頭骨周辺です。日本をはじめ、世界中の博物館に収蔵されているクジラの標本との比較が行われ、数回にわたる海外への渡航を要しました。

写真:頭骨を説明する長谷川名誉館長
頭骨を説明する長谷川名誉館長
写真:東京海洋大学で現生のコククジラとの比較
東京海洋大学にて現生コククジラと比較
写真:国立科学博物館で比較
国立科学博物館で比較
写真:東京海洋大学の現生コククジラ(全長12.5メートル)の頭部の骨
東京海洋大学の現生コククジラ(全長12.5メートル)の頭部の骨

約4年半の研究で論文では

現在、コククジラは、1属1種のみが北太平洋に生息している。アキシマクジラはほぼ全身の化石が発掘され、その頭骨周辺の位置や形状の違いから、現在生息しているコククジラとは異なる系統であるため、アキシマクジラを「エスクリクティウス アキシマエンシス」として報告する。これは、前期更新世では少なくともコククジラの2つの系統が生き残っていたことが分かったとしています。
また、アキシマクジラはコククジラ属に含まれる初の化石種となります。
不明な点が多かったコククジラ類が辿ってきたこれまでの進化の道筋について、今後、クジラ類の進化を研究するうえで重要な化石標本となる。

赤い部分が発掘された部位

写真:保存部位の表示

写真:木村主幹学芸員の資料
木村主幹学芸員の資料より

アキシマクジラが新種に認められた最も重要な点は、頭蓋・下顎骨が発掘され保存されていたことです。
現生のコククジラと区別できる決定的な部分とは、頭の骨の形に大きな違いがあることです。

クジラの分類と特徴

クジラは哺乳綱鯨偶蹄目クジラ類ハクジラ亜目に属するものの内、ハクジラとヒゲクジラに大別されます。ハクジラ類は70種以上と種類が多いのに対し、ヒゲクジラ類は14種と少ない。

また、ハクジラの成体で体長4m程度以下の比較的小型ものをイルカと呼ぶが、生物分類上はクジラとイルカに差はない。むしろ、ハクジラとヒゲクジラの差の方が生態的にも形態的にも違いが顕著である。

  • ハクジラ
    マッコウクジラ、ゴンドウクジラ、マイルカ、シロイルカ、シャチなどがハクジラ類の代表です。
    文字通り歯を持つクジラでイカなどを食べます。ハクジラとしてはダイオウイカを捕食するマッコウクジラが有名です。
  • ヒゲクジラ
    シロナガスクジラ、ミンククジラ、ザトウクジラ、セミクジラ、コククジラなどがヒゲクジラ類の代表です。歯を持たずクジラヒゲを持つものです。歯を持たないためプランクトンや小魚などを食べます。ヒゲクジラの中でも海水ごと丸呑みし、餌のみを摂取しながら海水を排出する食べ方を行うものはシロナガスクジラやミンククジラ、ザトウクジラが知られています。海水を丸呑みするため、畝(うね)と呼ばれる、喉もとからへそまでにある伸縮するヒダのようなものが発達しています。また、海水中に生息するプランクトンなどをクジラヒゲで濾しながら食べるものはセミクジラやホッキョククジラが知られています。より多く捕食するためにクジラヒゲが発達しています。最後に海底中のプランクトンや小さな甲殻類から小魚まで、一度砂ごと吸い込んでから餌以外を排出する食べ方をするコククジラが知られています。砂ごと吸い込む際、右側を下にする個体が多く、右利きのクジラといわれています。

このように、それぞれの捕食スタイルに合わせ、外見も大きく異なるのがクジラたちです。
アキシマクジラはこの中のコククジラに近い種とされています。
また、外見も全化石の特徴からみて現生のコククジラと頭部の形状が少し丸みを帯びている以外は、ほぼ変わらないと推測されます。

イラスト:クジラ系譜図
クジラ系譜図ハクジラ・ヒゲクジラの違い

イラスト:生体復元イメージ
生きていた頃のアキシマクジラのイメージ

写真:現生コククジラの頭部模型
指でさすあたりの形状が現生コククジラ(模型東京海洋大学所蔵)とは異なると推測される

詳しくは、以下のページをご覧ください。

クジラ雑学

アキシマクジラについて

アッキー・アイランって?

イラスト:アッキー&アイラン
アッキー・アイラン

私たちアッキー・アイランは、平成26年11月1日の市制施行60周年記念式典で公式キャラクターとして誕生しました。
アッキー・アイランの詳しい情報は以下のページをご覧ください。

右利きの多いコククジラの食べ方は?

体を右側に大きく倒し、顔の先端で海底を引っ掻くようにして泥を巻き上げます。その泥水を口に入れエサだけをひげでこして食べるのです。コククジラを観察すると、体全体にフジツボが付着しているのに、右側頭部には付着が少ないことからもその生態がうかがえます。

コククジラのおなかには、しましまの線(うね)があるの?

うねは、たくさんの海水を飲み蓄えるために、おなかを膨らませるのに必要な器官です。シロナガスクジラやミンククジラ、ザトウクジラは多くのうねがありますが、大量の海水を必要としないコククジラのうねは2本だけです。

何歳ぐらいだったの?

はっきりとした年齢はわからないがおとなだったようです。

男女どちらなの?

今の研究者でも化石や骨から判断するのは難しいとのことです。

13.5mって、どのくらいの大きさ?

鎌倉の大仏(台座を含む)くらいの大きさです。

足はどこにあるの?

イラスト:腰骨の位置


足の骨は退化してありません。
水中で足を使わなくなった骨盤が腰骨という小さな骨として残っていると考えられています。

関連リンク

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